配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
α,β-不飽和エポキシシランを利用する反応として,まず八員炭素環形成反応の開発を目的として研究を開始した.しかし,エポキシ環の開裂方向の制御が困難であることが判明したため,γ-アクリロイルアシルシランとβ-トリメチルシリルビニルリチウムとの反応による八員環形成反応を検討することにした.その結果,Brook転位,分子内アルドール反応,そしてアニオニックオキシCope転位が連続的に起こって立体選択的に八員環が生成することが明らかになった.さらに,より柔軟性の高い方法へと展開することを目的として,基質の構造,反応温度などの検討を行った結果,γ位にエステル基を有するアシルシランとビニルリチウムとの反応で得られるγ-ビニル-γ-シリルラクトンに対し,ビニルリチウム誘導体を反応させると,同様の連続的炭素-炭素形成反応が起こって,立体選択的に八員環が生成した. 次に,ヨウ化アルキルの存在下,γ-オキソ-α,β-エポキシシランのシアノヒドリン体に対し,低温でLDA,NHMDS,LHMDSなどの強塩基を反応させたところ,瞬時に反応が起こり,単一の成績体が得られた.この化合物は,エポキシ環の開環後,Brook転位により生成したアリルカルバニオンがアリル転位した後シアノ基のα位がアルキル化された化合物であることが判明した.特に興味深い点は,反応中間体のアルキル化成績体が全く検出されないということで,この結果は全過程が協奏的に進行している可能性を示唆するものである.したがって,容易に入手できる光学活性エポキシドを用いれば,エポキシドのキラリティーをカルバニオンに転写できる可能性があり,今後,新しい不斉反応としての可能性にも検討を加える予定である.
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