研究概要 |
最近10年余りの間に,海洋生物からユニークな骨格をもつ含窒素縮合多環芳香族アルカロイドが単離され,細胞毒性などの生物活性を示すことが明かになった.既に,我々はこれらの天然物の多くが分子内にイミノキノリンキノン構造を有することに着目して合成研究を行ない数種の天然物の合成を達成し,更に生物活性を検定した.本研究では,これらの研究結果を基盤として縮合多環芳香族アルカロイドmeridine及びcystodamineの合成を行うと共にplakinidine Cが有する新規骨格pyrrolo[2,3,4-kl]acridine(1)及びbenzo[b]pyrrolo[4,3,2-de][1,10]phenanthrolin-8(11H)-one(2),並びにそれらの誘導体の効率的な合成法を確立して新しい生理活性物質を創製することを目的とした. 1.4-Methoxy-5,8-quinolinedione(または4-chloro-5,8-quinolinedione)と2-nitrocinnamaldehyde dimethylhydrazoneとのhetero Diels-Alder反応を鍵反応に用いて縮合多環芳香族アルカロイドmeridine及びcystodamineを合成した. 2.o-Aminoacetophenoneとo-bromonitrobenzeneから4-amino-9-methylacridineを経由して全収率32.4%で7-methylbenzo[b][1,10]phenanthrolin-4(1H)-one(3)を合成できた.しかし,3から2を合成することは困難であることが分かった. 3.o-Aminoacetophenoneとm-bromonitrobenzeneから1-amino-9-methylacridine,2-acetylpyrrolo-[2,3,4-kl]acridin-1(2H)-one(4)を経由して全収率11.5%で1と同じ骨格をもつpyrrolo[2,3,4-kl]-acridin-2(1H)-oneを合成した.更に,4から全収率34.7%で2と同じ骨格をもつ6,11-dihydro-benzo[b]pyrrolo[4,3,2-de][1,10]phenanthroline-5,8-dioneを合成することができた.
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