研究概要 |
植物から新規抗HIV化合物のニューリードとなる天然有機化合物の検索目的に,抗HIV活性が確認されたエゾムラサキツツジ(Rhododendron dauricum L.)葉部及び枝部のMeOHエキスの活性成分の探索を行った。抗HIV活性を示すトリテルペン2種(オレアノール酸,ウルソール酸)とともに,ダウリクロメン酸(daurichromenic acid)と新規クロマン誘導体2種を単離した。これらの構造は,各種スペクトルの検討により解析し,さらに誘導体の,X線結晶解析により,その絶対構造が決定できた。またさらに,daurichromenic acidの絶対構造は未決定であったが,daurichromenic acidから光反応により,daurichromanic acid A及びBが得られたことから,これら3種全ての絶対構造決定することが出来た。 これらの化合物のうち,ダウリクロメン酸は,EC_<50> 0.00567 μg/mL,TI(治療係数)が3,710と天然物としては非常に強い抗HIV活性と治療係数を示すことが判明した。また,新規クロマンも,EC_<50>0.37 μg/mL,TIが91.9と良好な抗HIV活性を示した。これらは,抗HIV薬の新規リードとして期待される。 また,シラカバ花穂部のMeOHの抗HIV活性画分から新規トリテルペン3種を含む20種を単離構造決定した。これらの抗HIV活性は検討中である。
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