研究概要 |
研究助成期間において以下の研究を行った. 1.ラットi-NOS mRNA配列の推定2次構造から,標的部位の異なるホスホロチオエート型アンチセンスODN5種AS1〜AS5を設計した. 2.AS1〜AS5およびマウスiNOS mRNAの開始コドン領域に対するアンチセンス(mAS)を用い,ラット肝実質細胞およびKupffer細胞から産生されるNOの抑制を試みた.実質細胞ではmASが抑制効果を示し,その機構はアンチセンス機構による抑制と非特異的な抑制の両者によるものであると考えられた.一方,Kupffer細胞ではi-NOS mRNAの3′-非翻訳領域に対するAS5が最も強くNO産生を抑制した.しかし何れの細胞においてもNO産生量は低値であり,ラットi-NOS mRNAに対するアンチセンスODNの最適配列に関して明確な結果は得られなかった. 3.虚血再灌流後の実質細胞および非実質細胞におけるNO産生動態を検討した.虚血30分,再灌流3時間施したラット肝から調製した非実質細胞において最も強くNO産生およびi-NOS mRNA誘導が観察された.それらに対しAS1〜AS5の抑制効果を検討したが,NO産生抑制とi-NOS mRNA発現抑制の間に明確な相関は認められなかった.NO産生への内皮型NOSの関与,またはアンチセンスODNの効果が及ばない再灌流早期でのi-NOSタンパク質誘導が考えられた.
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