研究概要 |
1.中国マムシ血清からPLA_2阻害タンパク質の大量精製と結晶化 中国マムシ血清約10mlからBlue-Sepharose FFカラム、Q-Sepharose FFカラム、Phenyl-Sepharose HPカラム、およびSuperdex 200pgカラムを用いた各クロマトグラフィーを行うことにより、それぞれ10mg,5mg,20mgのPLIα,PLIβ、PLIγを精製することができた。Hanging Drop法を用いてこれらのPLA_2阻害タンパク質の結晶化の条件を検討しているが、X線結晶解析に適した結晶を得るまでには至っていない。 2.大腸菌を用いたPLA_2阻害タンパク質の発現系の確立と部位特異的変異導入を用いた構造活性相関 PLIαcDNAを発現ベクターpET-16bに組み込み、大腸菌で発現させて天然のPLIαと同程度のPLA_2阻害活性を持つ組換えタンパク質を得ることに成功した。また、シマヘビの血清に中国マムシPLIαのアミノ酸配列と約70%の相同性を持つにもかかわらず、PLA_2阻害活性を全く示さないPLIα様タンパク質を見いだしたので、これを精製し、そのcDNAをクローニングした。このシマヘビPLIα様タンパク質と中国マムシPLIαとの組換えキメラタンパク質を発現させその阻害活性を調べることにより、PLIαに含まれるCRD様配列は三量体構造の形成などの構造的な基盤としての役割を果たしており、PLA_2との相互作用にはCRD以外のN末端およびC末端の領域が必要であることが示唆された。 3.ヒト血清からロイシンリッチα_2グリコプロテイン(LRG)の精製とPLA_2阻害活性の検討 報告されているLRGのN-末端20残基に相当するペプチドを合成し、これを抗原としてウサギを免疫し、抗ペプチド抗体を作成した。この抗体はELISAによるLRGの検出に使えることがわかったので、これを指標としてヒト血清からLRGの精製を試みている。
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