研究概要 |
本研究では,生命活動の基盤として大切な役割を担っている延髄,とりわけ孤束核で営まれる機能に対し,隣接する最後野がどのようにその情報を伝え,生体の恒常性維持に関与しているかを明らかにした。3年間の研究を通して,末梢からの刺激(血圧,嘔吐)が,脳とのクロスロードである延髄で,「どのように受理され,その情報が中枢神経系の他の部位に,どのような仕方で伝えられるか?」の解明に焦点を絞った。その結果,本研究では,(1)動脈圧受容器反射の系を用いて,「末梢の血圧変化という情報が,孤束核でどのように統合されるか?」,「その過程に,脳室周辺器官の最後野がどのように調節するが?」を調べ,その仕組みの一部を明らかにできた。(2)嘔吐の発現にも,迷走神経や体液性の様々な物質が関与している。そこで本研究では,末梢や中枢からの嘔吐刺激が,「延髄のどの部位で,どの受容体を介して行なわれているか?」を明らかにすることができた。 この研究費によって生命活動の基盤としての延髄における,心血管調節に対する孤束核一最後野の新たな意義について解明できた。その成果を英国ロンドンの国際シンポジウムで発表した。
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