研究概要 |
本研究では、Sarcophyton属のソフトコーラル、海綿Stylotella aurantiumおよびその捕食者のReticulidia fungiaなどについて生物活性物質の種、コロニー、季節、採集場所による変動について調査した。ここではSarcophyton類での結果について述べる。 Sarcophyton類については合計279標本を南西諸島の8ヶ所で採集し、その含有する主ジテルペンをgradient HPLCと^1H NMRで同定した。種の同定は、Tel Aviv大学のBenayahu教授と共同で行った。その結果、S.trocheliophorumは2R,7S,8S-sarcophytoxideを含むchemotypeが主で、他にsarcophytol Aなどが少し見られた。S.glaucumではemblide,2R,7R,8R-sarcophytoxide,7-Hydroxy-1,3,11-cembratrien-20,8-carbolactoneの3つのtypeが優占するが、その他のtypeがいくつも存在した。S.ehrenbergi,S.elegans,S.crassocaule,S.digitatumなどはそれぞれ特徴があり、優先的なtypeがそれぞれ存在した。 これらの結果は、種による変化、コロニーによる違い、および一部の種では地域による含有成分の変動も見られた。特に、S.glaucumは、形態による分類では同一とされるのに対して、成分からは様々な化合物が検出された。このことは、生物としてそのような多様性があるのか、あるいは種が細分化されるべきなのか、今後の研究に待つべきところが多いと判断される。
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