研究課題/領域番号 |
10672119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境系薬学
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
天野 富美夫 国立感染症研究所, 細胞科学部, 主任研究官 (90142132)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | サルモネラ / 病原性 / 生残性 / 静止期 / 対数増殖期 / 環境分離株 / 臨床分離株 / invA / 病原因子 |
研究概要 |
本研究の結果、食中毒の原因として主要な位置を占めているサルモネラ菌の環境中における動態ならびに病原性の評価に関して、いくつかの重要な知見を得ることができた。 先ず、病原性のサルモネラ(Salmonella Typhinmurium ; STM)の水系における生残性について検討した結果、菌の増殖状態が重要な因子となり、静止期の菌は対数増殖期の菌に比べて様々なストレス条件下においても生残性が良く、6ヶ月以上に亘ってリン酸緩衝液生理食塩水(PBS)中で生残することを見い出した。これらの菌は単に寒天培地中でコロニーを形成する、という増殖能をもつだけでなく、実際に再増殖した菌はマウスに対する致死性を示した。この結果は、STMが環境中で比較的過酷な条件においても存在し続け、病原性を保持しうることを示唆する。 次に、多摩川から河川水を採取してサルモネラを実際に分離した結果、上流域から中流域にかけて多くのサルモネラが分離された。菌株を単離して解析した結果、調べた菌が全てSalmonella Enteritidis(SE)であり、invAという病原遺伝子を持つだけではなく、マウスに対して致死性を示した。この結果は、多摩川の河川水中に実際に病原性のSEが存在していることを示す。また、これらの河川水を利用する形態によっては、SEを直接(滅菌せずに飲用した場合等)、或いは間接(農業用水として野菜に散布し、それを充分に水道水等で洗浄しなかった場合等)的にヒトの体内に取り込むことになることを示唆する。 さらに、養鶏場の環境中からも、マウスに対して致死性を示すSEが分離された。また、この実験については、分離されたすべてのSEがマウスに対しての致死性を示さず、invAを有しているにもかかわらず、約半数のSEは致死性を示さなかった。この致死性の発現に連動するような一連のタンパク質が存在することが示唆され、その分離・同定と環境中におけるSEの生残性や病原性の発現との関係についての研究を開始した。 以上のように、本研究の実施によって、当初の目的のうちの大部分について実験的な証明もしくは解析がなされ、またその多くについて新しい知見を得ることができた。
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