研究概要 |
ラオス、ミャンマー、タイ、インドネシア、日本のG6PD異常症例について遺伝子解析を行った。 1.ラオス人8例ではいずれもG6PDViangchan(以下"G6PD"は省略)が見出された。 2.ミャンマーおよびタイのミャンマー人では、15例(ビルマ族11例、モン族3例、シャン族1例)にMahidol,1例(ビルマ族)にUnionが同定された。 3.タイ人および母親がタイ出身の日本人では、3例にViangchan,各1例にMahidol、Vanua Lava,Union+Canton(複合ヘテロ接合体)が見出された。 4.母親がフィリピン出身の日本人では、5例にViangchan、各1例にCombra、Chathamが同定された。 5.ハルマヘラ島・ブル島のインドネシア人では、8例にVanua Lava,1例にCombraを同定し、ジャワ島では2例にChathamを見出した。 6.インドネシア在住の中国人および母親が中国(香港・台湾を含む)出身の日本人では、5例にKaiping,3例にCanton、各1例にGaohe、Mahidol-likeを同定し、更に1例では新規の変異1291G→A(G6PD Surabayaと命名)が同定された。 モン族も含めミャンマーでMahidolの頻度が高いこと、ハルマヘラ島・ブル島ではメラネシア系の変異酵素であるVanua Lavaの頻度が高いことは新知見として重要ある。これまでのデータも含め考察すると、南方モンゴロイドのG6PDの変異を、(1)大陸群(中国、ラオス、タイ、ミャンマー)、(2)島嶼群(フィリピン、ジャワ島)、(3)メラネシア群(バヌアツ、ソロモン諸島、ハルマヘラ島)に分類し、各群を代表する変異酵素を、(1)Canton、Kaiping,Mahidol,(2)Viangchan,(3)Union,Vanua Lavaとするのが妥当と思われる。
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