研究概要 |
1.好中球―血小板の接着・凝集反応における相互作用のFICによる解析 我々は,フローサイトメーターにCCDカメラ(画像撮影機能)を組み込んだフローイメージサイトメーター(Flow Imaging Cytometer:FIC)を開発している.FICは,前方散乱より得られる細胞の大きさに関する情報とデジタルカメラからの画像情報より,従来は困難であった血小板凝集塊と赤血球・白血球・単一血小板との鑑別を可能にした.このFICを用い,全血をADP・セロトニンなどの血小板アゴニストで刺激した際に,好中球・血小板の混合凝集塊を明瞭に観察できることを確認した.その定量評価が可能になるべく,種々の条件検討を重ねたが,現時点では確立できていない.装置の構成上,200枚の画像しか処理できず,FICによって検知できる混合凝集塊が絶対数として極めて低レベルであることが,主な理由である.将来的には,この混合凝集塊形成における,接着分子の関与を検討したい. 2.好中球をはじめとする各種血球・血管内皮細胞に対するスフィンゴ脂質の効果 我々は,活性化血小板からsphingosine 1-phosphate(Sph-1-P)が放出されること,スフィンゴ脂質の観点より血小板―各種血球・血管内皮細胞クロストークを考えることの重要性を報告してきた.好中球に対して,Sph-1-Pは明らかな作用を示さなかったが,ジ メチルスフィンゴ シン・Sph・セラミドは,この順で,好中球アポトーシスを誘導することを形態学的変化・フローサイトメトリー法にて確認した.血管内皮細胞では,Sph-1-P産生に対するSphキナーゼ阻害剤の効果の検討を行い,Sph-1-Pが血小板内セカンド・メッセンジャーとして作用しえないことを明らかにした.
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