研究課題/領域番号 |
10672185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
嘉悦 幸代 昭和大学, 医学部, 助手 (40255766)
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研究分担者 |
高木 康 昭和大学, 医学部, 助教授 (30138490)
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
福地 邦彦 昭和大学, 医学部・臨床病理, 講師 (70181287)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Bcl-2 / Bcl-XL / Bax / アポトーシス / p53 / PKB / AKT / カスパーゼ3 / cisplatin / Bad / caspase / CDDP |
研究概要 |
アポトーシスに促進的なBaxやBadが、アポトーシス阻害的なBcl-2やBcl-XLと二量体を形成している場合には、正常にアポトーシスが進行するが、内因・外因性に増殖刺激が加わった際にはBax・Badは遊離し、Bcl-2/Bcl-XLのアポトーシス抑制的な二量体となって、細胞増殖が進行する。また、突然変異でBcl-2が過剰発現した際にも上記の理由から細胞は無秩序な増殖を開始する。この研究においては、1)臨床検体を用いて、Bcl-2 family蛋白の解析およびmRNAの検出、p53蛋白およびカスパーゼ3の検索、2)培養細胞株を利用し、抗癌剤作用発現時のBcl-2 family蛋白の解析を行った。1)胃癌検体では、胃壁深達度分類におけるBcl-2蛋白発現20%以上の強陽性において、早期胃癌65%進行胃癌20%と有意差を認めた。また、組織分類におけるBcl-2蛋白発現5%以上の陽性において、intestinal type 62.5%diffuse type 33.3%と有意差を認めた。早期胃癌、分化型胃癌、浸潤増殖様式INFα、また転移の無い胃癌においては、p53高発現にもかかわらず、アポトーシス出現率は低率であった。このことは癌抑制遺伝子p53の発現下(おそらくmutant p53)において、アポトーシス抑制蛋白であるBcl-2またはBcl-XLが高発現し、アポトーシスから逸脱する(p53非依存的)機序が働いていることを示唆する。Baxやカスパーゼ3の陽性率は多くの症例で高く、この現象は他の報告とも一致した。また、in situ RT PCR法にてBcl-2 family mRNAはその蛋白発現との局在の一致を確認した。2)では、cisplatinと5-FUの併用効果は、apoptosis誘導においてp53のstatus(wt,mut)に関わらず有用であった。また細胞が増殖する際には、PKB/AKTがアポトーシス進行性のBadをリン酸化して不活化することで、Bcl-2・Bcl-XLが活性化する機構が明らかとなったことに着目し、Badの上流のPKB/AKTの活性がcisplatin処理により変動するかどうかを観察した。その結果、PKB/AKTはcisplatinの量依存的に機能が低下することが認められ、この抗癌剤の作用点が明らかとなった。また、Badの上流AKTのリン酸化の抑制効果は5-FU併用により亢進し、p53非依存的であった。
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