研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)患者のFcγRIIIBBのgenotypeをPCR法で同定したところ、NA(1+2-):49例(42.6%),(1+2+):59例(51.3%),(1-2+):7例(6.1%)と健常日本人の分布(NA(1+2-):29.2%,(1+2+):62.9%,(1-2+):7.9%)と比してNA1型の優勢を認めた。しかし、それぞれのタイプ間でのStageやリウマトイド因子等の測定値に有為な差は認められず、NAタイプがRA発症には関与するが、その病態の進行には影響しないものと考えられた。また、対照として検索したFcγRIIAでは、H/H131:83例(71.6%),H/R^<131>:32例(27.6%),R/R^<131>:1例(0.9%)と健常日本人の分布(H/H^<131>:61.6%,H/R^<131>:36.1%,R/R^<131>:2.4%)と有為な差は認められなかった。さらに、FcγRIIIAでも、F/F^<158>:21例(18.1%),F/V^<158>:85例(73.3%),V/V^<158>:10例(8.6%)と健常日本人の分布(F/F^<158>:10。8%),F/V^<158>:82.9%,V/V^<158>:6.3%)と有為な差は認められなかった。 一方、自己免疫性好中球減少症では、FcγRIIIBのタイプは14例中11例がNA(1+2-),残り3例がNA(1+2+)であった。またFcγRIIAは、13例がH/H^<131>で、1例のみH/R^<131>であったことから、FcγRの発現型が好中球特異的自己抗体の生成に何らかの影響を与えている可能性が示された。 骨関節炎症では、FcγRIIIAのタイプが、F/F^<158>:10例(25.0%),F/V^<158>:28例(70.0%),V/V^<158>:2例(5.0%)と健常日本人の分布と比してF/F^<158>型の優勢を認めた。他は、NA(1+2-):7例(17.5%),(1+2+):27例(67.5%),(1-2+):6例(15.0%)およびH/H^<131>:27例(67.5%),H/R^<131>:13例(32.5%),R/R^<131>:0例(0%)と健常日本人の分布と有為な差は認められなかった。FcγRIIIaの発現型が、骨関節炎症の発症,進展に何らかの影響を与えている可能性が示された。 動脈硬化症では、CAD患者のFcγkのgenotypeをPCR法で同定したところ、FcγRIIIB-NA1タイプでは健常日本人の分布と比してFcγRIIIA-F^<158>タイプの劣勢を認めた。さらに、FcγRIIIA-F/F^<158>群の方がF/V^<158>群よりも、冠動脈の有意狭窄数が少なかった。FcγRIIIaならびにIIIbの発現型が、動脈硬化症の発症,進展に何らかの影響を与えている可能性が示された。
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