研究課題/領域番号 |
10672252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 兵庫県立看護大学 |
研究代表者 |
宇佐美 しおり 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (50295755)
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研究分担者 |
山村 真佐枝 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40316055)
千藤 明美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (50295763)
近澤 範子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40118055)
郷良 淳子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40295762)
住吉 亜矢子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (00285347)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1998年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
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キーワード | 精神障害者 / セルフケア / 地域生活 / サポートシステム / 地域ケア |
研究概要 |
本研究は、精神障害者の地域生活を促進・維持するために精神障害者のセルフケアを支えるサポートシステムのモデルを開発することを目的とした。平成10年度には地域生活の維持に成功している精神障害者28名に半構成的質問紙を用いてインタビューを行い質的に分析してモデルを作成し、平成11年度にはこのモデルを精神障害者19名と専門家のべ29名のインタビューを加えてさらに洗練させた。これらの結果下記のことが明らかになった。 1)地域生活を維持・促進できている精神障害者は自分の症状とつきあう過程の中で自分との折り合いをつけ、自分の生活世界を家族、専門化、友人へと拡大していた。そして自分にやれることを通して自分への自信を獲得していた。また彼らはデイケアや作業所を自宅以外の安心できるさ社会の場として活用する一方で、社会生活を営む上での生活機能の改善や訓練の場として活用していた。 2)さらに対象者たちは家族、医療福祉専門従事者、周囲の人々からサポートを受けており、社会化の課程を辿っていた。特に医療福祉専門従事者には「相談」を通して過去の自分の将来の自分へとつなげをつけ、自分の生活世界を広げ豊にしていた。 3)また地域での生活に成功している精神障害者のセルフケアの実態としては食事内容、料理の仕方の工夫、一人の時間と人と過ごす時間のバランス、調子悪化時の対処、薬の調整、お金の管理を行っていた。さらにこの日常生活は<将来の生活への希望><今の生活への満足と維持>をもとに構成され、これらは年齢や発病からの期間、病名とは関係なく、むしろ<これまで何ができて、何ができなかったのか>と関連していた。一方専門職からの見立てとサポート、ケアの内容が含まれていた。見立てとサポートには<患者自身への見立て><患者-家族関係の見立て><現在の治療・生活の場と患者の自立度との関係の見極め><患者と他の専門職や周囲との関わりをモニタリングしながら必要に応じてつないでいく><ケア・サポートの内容>に分けられた。見立ては病状、患者自身のこれまでの生活史と成長発達状態、周囲との関係をもとに行われ、またケア・サポートの内容はこれまでの患者の経過をふまえながらも今ここでやれること、これまでの患者自身のとらわれを修正していくような現実的な関わりが行われていた。 4)精神障害者の地域生活を促進していくためには、特に症状、活動と休息のバランス、孤独と人とのつきあいのバランスと範囲充実感、に関するセルフケアを促進していくことが重要であり、さらに患者の自立度とこれまでの家庭を見極めた現実的でサポーテイブな環境を提示していくことが重要であり、専門化としてはこの過程を見極めながら、必要なサービスとサポートを提供していくことが重要であることが示唆された。
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