研究概要 |
【研究目的】新人看護婦の職務ストレスに対するサポートシステムに関して教育と臨床相互の立場から支援モデルを構築すること。【実施計画】全国の病院で働く1〜3年目看護婦を対象とした横断調査と,研究者らの学校を卒業した新卒看護婦に対する縦断調査を行う。調査内容は個人属性,職務ストレス認知,コーピング,サポート認知,特性的自己効力感,ストレス反応である。【結果】新人看護婦の職務ストレッサーは「看護ケアに関するもの」と「職場の人間関係に関するもの」に大別され,看護経験年数が多くなるほど「看護ケア」は減少し,「職場の人間関係」は増加していた。ストレッサーの体験度と負担感には有意な相関関係があったが,「看護ケア」では比較的低かった。コーピングは採用順に支援探求・自責内省・問題解決・回避楽観の4つが見出され,支援探求は問題解決と,自責内省は回避楽観と強い正の相関関係があった。自責内省はストレス反応のうつ傾向に影響を与えていた。また問題解決と支援探求はサポートの認知と正の相関があり,上司および先輩からのサポートを高く認知する程,ストレッサーを軽減させていた。自己効力感はストレス認知やコーピング,ストレス反応に影響を与えていた。うつ傾向は職務ストレッサーが多くなると強まる関係にあった。以上より,新人看護婦の職務ストレスに対するストレス反応軽減のための有効な要因としては,自己効力感が高く,上司や先輩のサポートを多く認知し,「職場の人間関係」のストレッサーが少なく,自責内省コーピングをとらないことが見出された。一方,教員に仕事に関する悩みの対応を望む新人看護婦は多くはないが,職務ストレスが高く,情動中心型コーピングを多く採用し,うつ傾向が高いという特徴をもっていた。現時点で明らかになった要因の関連性は部分的なものである。今後は支援モデル構築に向けて縦断研究を含めた分析をさらに進めていく予定である。
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