研究概要 |
医療技術の発展により寿命の延長という量的拡大の目標は達成できても、それに比例してQOLが改善しているかは明かではない。つまり、量的・質的の両面の充実が望まれる。このような社会情勢では活力を高く保ったまま老いる、老いても自立できるというい「Successful Aging」が最も重要である。このような背景に基づいて行った本研究の成果をもとめると次のようになる。 1.高齢女性の骨密度の特徴:脊椎骨密度の低下率が最大であることから、脊椎骨密度の維持に効果的な運動プログラムの提供は、高齢期以前から必要であろう。また、高齢前期から高齢後期にかけて下肢骨密度が顕著に低下することから、高齢期において下肢骨密度を高く維持するためには活発な身体活動を中心とする生活習慣の形成が大切であることが推察された。 2.高齢者の身体組成の評価:健常高齢者の身体組成を評価する多数衆波数インピーダンス法の有用性について検討し、次の式を作成した。 LTM=0.401(Ht×Ht)/RLOW-4.897Sex+0.164Wt+17.586(R=0.964,SEE=2.05kg) BMC=0.036Wt+0.021Ht-0.142Sex-2.982(R=0.887,SEE=0.28kg) Wt=体重(kg),Ht=身長t(cm),RLOW=低周波での抵抗値 3.活動体力水準と生活満足度・生活習慣との関連:体力水準が高いヒトは、自分の生き方に満足し、健康に自身を持ち、まだ元気であると認識しているとともに、9割が運動を実践している。運動は、ゲートボール中心の運動を同好者と時間をかけて実践している。それに対して、体力水準が低いヒトは、6割が自分の健康に不安を感じ、4割が経済的な状況に不安を持っている。約5割が運動を実践していない。運動は一人で散歩や歩行中心の運動を短時間実践する傾向が観察された。 4.高齢者の健康度を評価する年齢尺度:身体機能を推定する項目に基づく年齢尺度は次のようになる。 AFA=-4.92AFS+72.98,AFS=-0.35X_1+0.049X_2+0.032X_3-0.132X_4+0.049X_5-1.84 AFA=活動体力年齢,AFS=活動体力得点 X_1=8の字歩行,X_2=ペグ移動,X_3=ファンクショナルリーチ,X_4=起立動作時間,X_5=握力
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