研究概要 |
1980年代末から活発に進められてきたドイツ各州のスポーツ科の指導要領の改訂作業には、1)革新的な新規の改革(特に、旧東ドイツ諸州)、2)根本的な修正(例えば、HessenとBayern)、3)一貫した継続的修正(来るべきNordrhein-Westdalen)(Balz,1996,3)三つのタイプがみられた。しかし、それらの間には、1)教育学的要請の強調、2)内容的な開放性、3)テーマとの結びつき3点の共通点がみられるという。 本研究ではこれらの指摘を踏まえ、Niedersachsen(1988)、Rheinland-Pfalz(1998)、Schleswig-Holstein(1997)、Hamburg(1998)、新たなタイプの指導要領として注目を浴びたBayern(1992/1993)並びにNRWの新指導要領(1999)を対象に目標並びにカリキュラムレベルに限定してその動向を検討するとともに、それを方向付けたスポーツ教授学の論議を整理した。 その結果、スポーツの中の教育とスポーツを通しての教育の2側面から目標論が設定されるとともに、内容領域の設定に関しては脱スポーツ種目的な試みがみられた。さらに,多様な教科論がそれを方向付けていた。 また、これらに加え、スポーツ科の指導要領における身体の位置づけとその目標、内容の三点を、現在公布されている15州の指導要領を対象に検討した。その結果、1)概ねスポーツ種目領域の中で実現していく州が多いこと、しかし、独立した領域設定もみられたこと、2)健康を目標として設定していること、3)身体に関する自然科学による知識と自分の身体の感覚との統一が求められていたこと、また、体力作り一辺倒は、主に旧東ドイツ諸州に見られたことが確認できた。
|