研究概要 |
1.研究目的 心拍数は心臓交感神経系と心臓迷走神経系の緊張の均衡により制御されている.心拍数による運動終了時点からの自律神経系回復過程の検討では両者の相対関係しか表現されない.この過程を時間周波数解析を行う事で心臓交感神経系と心臓迷走神経系の活動を分離して評価して評価を行うのが本研究の目的である. 2.成果 21名の健常な男女において100〜210ワットの固定負荷強度の運動を8分間を行い,20分間の回復過程を心電図RR間隔の連続計測データに対して時間周波数解析を行うことで検討した.運動回復過程における呼吸数成分およびマイヤーウエーブ成分の中心周波数は短時間フーリェ変換では21例全例において視覚的な同定が可能であったが,ウェーブレット変換では全例で困難を極めた.ガボール変換は短時間フーリェ変換とウェーブレット変換の中間的な特徴を持つことが明らかとなった.しかし,時間分解能ではこれとは逆にウェーブレット変換が有利であり,短時間フーリェ変換では解析時間長の平均が表現されたに過ぎなかった.両者の変化を総合して運動回復過程においては,まず心臓迷走神経系活動が回復して遅れて心臓交感神経系活動が回復していくことが明らかとなった.
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