研究課題/領域番号 |
10680086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
堀 信行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40087143)
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研究分担者 |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 助教授 (90260786)
大山 修一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00322347)
岡 秀一 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50106605)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 霊山 / 色季 / 色彩景観 / 植生景観 / 景観認識 / 景観生態学 / 空間構造 / ドメスティケーション / 植生変化 / 風景のドメスティケーション |
研究概要 |
本研究は日本の霊山の自然植生景観を対象にし、それに対する人為的な干渉をドメステイケーションと称し、その地域的変化についての検討を行ってきた。研究分担者の高岡貞夫は、東日本を中心に、主要な霊山における山頂標高、植生帯境界の標高、社寺仏閣の位置の断面図を作成し、GIS(地理情報システム)を活用して霊山植生の実際と潜在的な植生分布との関係を検討した。岡秀一は、蔵王山・富士山・石鎚山において、霊山空間の形成にとって重要な役割を果たしていると思われる亜高山帯における植生景観を解析した結果、亜高山帯域といえども、それぞれの置かれている地理的位置によって景観形成のメカニズムに大きな違いがあり、それには北西季節風、台風といった気候条件が第一義的に関わっていることが明らかとなった。大山修一はソテツについて資料を収集し、寺院や霊山の景観を解明しようと努めた。沖縄や奄美大島などの琉球弧では、食糧生産のために栽培されたり、海岸沿いに野生状態で自生している一方、関東以南の本州や四国、北九州では寺社仏閣の庭園に植栽されている。これらのソテツには、数多くの逸話や伝説が残っており、信仰の対象となっていることが浮かび上がってきた。研究協力者の松尾容孝(専修大学・文学部・教授)は「絵図にみる聖域の樹林」をテーマとして、荘園絵図や社寺絵図をはじめとする絵図のなかの樹林描写のうち、聖域を樹林描写で明示しているものを比較し、それらの樹林描写が個々の絵図中で担っている意味の読解につとめた。研究代表者の堀信行は、屋久島などで自然植生と植林の歴史的変化など現地調査を重ね、春と秋を代表とする霊山の植生にみる色季の変化には、その変化をより際立たせるようにしてきた人間側の意図的な営為が認められることを指摘する一方で、各メンバーの研究を総括し、気候帯によって自然植生景観が大きく異なるにもかかわらず、日本人の植生に対する選択的な嗜好感覚が、霊山の自然植生景観の樹種構成とそれらの分布に人為的な干渉が働き、それぞれの地域固有の霊山を生み出してきたという現段階での結論を得た。
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