研究分担者 |
小玉 徹 大阪市立大学, 経済研究所, 教授 (00170267)
水内 俊雄 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (60181880)
大場 茂明 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (10185366)
由井 義通 広島大学, 教育学部, 助教授 (80243525)
鍋島 祥郎 大阪市立大学, 同和問題研究室, 助教授 (40240832)
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研究概要 |
本研究の最大の目的は、同和地区を対象にした多くの調査事例を再検討し,調査で得られた膨大なデータをいかに再利用し,そしてオリジナルな調査としての同和地区景観調査を加えて、同和地区の物的な現状に関するデータベースを作成することにあった。対象を大阪府内の48の同和地区に求めた。幸い1961年から数年おきに同和地区調査が悉皆あるいはサンプル調査で行われており,こうした調査書を保管している部落解放研究所において,データの使用に許可を得て,経年的な同和地区の変貌に関するデータの収集,必要データの採取,入力を行った。同時に景観調査を48地区において,統一フォーマットを用いて行った。前例のない調査であり,特に同和地区を素人目でみるための訓練,プレ調査を夏よりはじめ,調査項目のチェックを繰り返し,1月から2月にかけて集中的に48ヶ所の景観調査を行った。公営住宅地区,その他の住宅地区別に景観評価を行ない,あわせて記述式のレポートも付した。結果は調査報告書に記した通りであるが,調査の焦点は,同和地区が果たして長年の改良事業を通じてどう改善されたのか,またその改善の結果として景観的に周辺地区と新たな相違を創り出してしまったのであろうか。また同和地区に関する既成の研究でさかんに問題にされている改良事業の問題点というのが,果たして全同和地区に一般的に適用できるのかどうか,といった争点に関して,本景観調査は,結果として,大部分の同和地区は,改良事業により,周辺地区との格差を全くなくしてしまったこと,また同和地区が視覚的に固定されたのではないかという評価に関しても,一部の公営住宅卓越型地区に見られる程度で,大部分の近郊,農村型の同和地区では,一般地区とそうした見分けが不可能な状況であることが明らかになった。問題は公営住宅卓越型の同和地区での荒廃化問題ではなかろうか。
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