研究概要 |
地表地震断層が生じた逆断層について,地表地震断層と後期更新世以降の変位の累積の結果である活断層地形(断層変位地形)の関係を,地形学的に検討した.本年度は,車籠埔断層(台湾大地震・1999年921集集地震)・北丹後地震(1927年)の郷村地震断層群・福井地震を取り上げた. 逆断層が活動し発生した1999年9月21日集集地震(台湾大地震)地震断層と車籠埔断層の断層変位地形を現地調査した.また,空中写真(縮尺1/1万〜2万)判読を台湾で行い,車籠埔断層の既存断層変位地形と地震断層の位置関係を検討した.その結果,地震断層は概ね既存の車籠埔断層の明瞭な断層変位地形の位置とほぼ一致した場所に現れているが,一部の地域では平野と山地境界部の断層変位地形から山地内へ外れた場所に現れていることが明らかになった. 一方,郷村断層・福井地震断層では,ともに明瞭な地震断層が現れたが,両断層ともに既存の断層変位地形は不明瞭であることが分かった.既存の調査によって両断層では断層変位地形が明瞭であるとされているが,これらは地震断層が現れていなければ認定が極めて難しいものであると言わざるを得ないことが,明らかになった. 車籠埔断層はプレート境界に位置するものであるが,郷村断層・福井地震断層はプレート内の断層である.このことが,両者の地形表現の違いとなって現れているものと考えられる.
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