研究概要 |
本研究は,衣生活の自立を維持する,あるいは支援する視点から衣服の着脱がどのような過程で行われているか,健常者を被験者としての動作実態を明らかにし,着脱の調節機能を解明することにより身体に何らかに障害を持つ人が着脱を行う際の動作容易性を考慮し,衣服の設計・構成レベルで改善方法を実現化するための基礎的資料を得ることを目的とした。 衣服の着脱あるいは着替えに関する研究は,衣生活の自立の重要性が求められている中で,実態調査や事例的報告は多いものの,着脱の動作分析を行った研究は極めて少ない。 健康な本学女子学生を被験者に選び,パンツ形態,特にジーンズとジャージパンツを対象衣服として取り上げた。着脱の動作実験は,人工気候室(温度25℃,湿度60%)で行い,終了と同時に着用感を官能評価によって実施した。ビデオカメラを用いて一連の動作を録画し,ビデオ画像から動作過程のモデル化,動作所要時間等の動作特性ならびに着用感について検討し,これらの関連性について考察した。 さらに,これまでの継続研究の成果をもとに,動作分析と着用感について検討を行った。これらの実験を通して,(1)パンツ形態における着脱の動作過程モデル,(2)パンツ形態,特にゆとりや明き部位による着脱動作の所要時間への影響,(3)着用感評価への影響,(4)動作の所要時間と着用感の関係,(5)同一サイズの実験衣で行った時の着用者の身体サイズの影響,などを明らかにした。 本研究の成果は,ジーンズとジャージパンツを対象衣服として実験を行ったものである。他の衣服形態については,さらに検証を重ねることが必要であり,今後の課題として研究を進めて行きたい。
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