精密で迅速な洗浄力評価法の開発が行われた。この方法は、油性物質が繊維基質から洗浄液に界面活性剤で除去される熱力学の解析に使うことができる。 界面活性剤によって、繊維基質から洗浄液に油性汚れが除去されるメカニズムを研究するために繊維粉末、糸、あるいは織物を固定相とする液体クロマとグラフィーが開発された。移動相の界面活性剤水溶液ミセル濃度の関数として、ポリエステルあるいはセルロース基質上の油性汚れ物質の保持容量を測定した。 油性汚れ物質の溶出体積と容量因子は、移動相中のミセル濃度に影響された。ミセルを移動相とするクロマトグラフィの理論的取り扱を用いて、繊維基質とミセルの間の分配係数(Psm)、繊維基質と水の間の分配係数(Psw)、水とミセルの間の分配係数(Pwm)、を求めた。PsmとPswの値は、セルロースの系よりポリエステルの系で大きく、油性汚れはセルロースより、ポリエステルからの方が、洗浄しにくいことを示した。 油脂汚れ物質の繊維基質とミセルの間の自由エネルギー変化(-△μ)は、ポリエステルで2.9-3.3kcal/mol、セルロースでは4.3-4.5kcal/mol、油性汚れはセルロースより、ポリエステルからの方が、洗浄しにくいことをが明確になった。 これらの結果は、他の研究者による、別の方法によって観察されている結果と類似している。このクロマトグラフィー技術は、織物基質上の汚れが洗浄液中での洗浄と再汚染の間の動的平衡の研究に役立つものと考えられる。
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