研究概要 |
多様な米粉製品の開発とその品質改善をはかることを目的として、米の微粉化による理化学的性質および調理・加工特性の改変について検討した。その結果は次の通りである。 ジェット気流粉砕機の回転数を変換することにより、平均粒径40μm,20μm,5μm,2.5μmの米微粉試料を得た。その理化学的性質については、粗蛋白質、粗灰分、脂質、アミロース量、白色度に違いはみられなかったが、粒径が小さくなるほど水分量が減少した。また、米の微粉化の進行により、澱粉損傷度の増大、膨潤率の上昇がみられ、ビスコグラフによると、糊化開始温度の低下、最高粘度の減少が認められた。 調理・加工特性として、生地形成性をみると、粒径が小さいほど硬く、粘りのある生地が形成された。特に2.5μmの米微粉は加水量200%においてもなめらかな生地を形成することができた。ゲル特性・ぺースト特性では、濃度が高いほど硬さ・粘性は大きくなるが、全体として粒径が小さいほど粘りが減少した。また、微粉の特徴としては、ゲル・ぺーストの硬さの経時的変化が小さく、糊化度の経時的低下も僅少であることがあげられる。ゲル・ぺーストの色調では、b^*値において粒径間に顕著な差異が認められ、粒径が小さくなるほど黄色味が強くなることが示された。一方、米微粉の場合、米粉+水+膨化剤の単純系ではスポンジ状を呈することは困難であり、米微粉の膨化特性については今後の課題が残された。 製品化にむけて、副材料を加えた午乳ゲルについて検討した結果、米微粉5μmにおいて、離水のみられない安定したゲルを得ることができた。官能検査から、ゲル製品の受容性には個人差があること、ゲル製品の総合(おいしさ)評価には甘味とテクスチャー評価の寄与率が高いことが示唆された。 今後、米微粉の理化学的性質を生かして、低濃度のゲル状製品やぺースト状製品の開発が期待される。
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