研究概要 |
1 算数・数学学習において,児童・生徒の構造的思考及び創造的思考を活性化するための次の新しいシステムや手法を開発した。 (1)生徒の構造的思考を活性化するためのコンピュータを利用した「構造的思考活性化支援システム」の開発。 (2)生徒の創造性を育成するためのコンセプトマップを活用した「課題探究型山登り式学習法」の開発。 (3)数学固有の創造性を測定するための「創造性テスト」及び「創造性態度尺度CAS」の開発。 2 小学生,中学生,高校生,大学生約1000人を対象にして,算数・数学学習における児童・生徒の構造的思考力,創造力,表現力の間の関係を分析した結果,次のことが明らかになった。 (1)構造的思考が活性化している生徒ほど,創造性能力及び創造性態度が良好である。逆は成り立たない。 (2)創造性態度得点が高い生徒ほど,創造性テスト得点が高い。さらに創造性テスト得点が高い生徒ほど,学業成績得点が高い。逆は成り立たない。 (3)小学生では,小学4年生と5年生の間に創造性の発達の段差がみられる。 (4)いずれの学年においても柔軟性や独創性がきわめて乏しい。 (5)記述表現力と口述表現力の相関係数の値は0.94で強い相関があり,記述表現力は口述表現力よりも高い。 なお,算数・数学教育における創造性と学業成績の関係,小学生から大学生までの創造性の発達,創造性育成の新しい手法等は,次年度に継続研究し明らかにする予定である。
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