研究概要 |
1.3種類のケナフ(中国種青皮3号,浙江1号,米国産Everglades41)の栽培観察結果では,発芽率は種類によって異なったが,福岡でも十分栽培可能である.茎長,茎の直径および茎重の大きさは,Everglades41>浙江1号>青皮3号の順で,ケナフの花の開花の順序は,青皮3号>浙江1号>Everglades41で,この順序で熟成が早いことが分かる.葉の形は,青皮3号は7裂,浙江1号は7裂と楕円状の混合,Everglades41はごく浅く5裂である.側根の多さの順序はEverglades41>浙江1号>青皮3号で,茎長,茎の直径および茎重と対応していた. 2.各種ケナフの茎の灰分量,温水抽出量,アルカリ抽出量およびホロセルロース含量は,靭皮のほうがコアより多かった.ケナフの栄養成分はモロヘイヤに近かった. 3.ケナフの花弁色素(赤色と黄色)は酸,アルカリ指示薬として使用できる.また,前媒染で美しく染色出来る. 4.ケナフ系吸着材による,食廃油および排水中の汚染物(金属イオン,染料)吸着能はすぐれていた. 5.ケナフの吸湿性は,靭皮,コアとも木材パルプやコットンより大きかった.この原因はケナフにヘミセルロースが多いためであろう. 6.ケナフの3品種(青皮3号,ミヤンマー産青皮,浙江1号,Everglades41)の種子油の一般性状,脂肪量,脂肪酸組成,リン脂質組成,ステロール組成およびトコフエロール組成を検討した.品種間の著しい差はほとんど認められなった.脂肪量は約20.5%で、半乾性油であった.脂肪酸組成,ステロール組成,トコフエロール組成はは綿実油に類似していた.種子の収率,油の改善が行われれば食用油としての利用が考えられる. 以上のことから,ケナフ(青皮3号)は春に播種すると,成長が早く,葉の形の変化の面白さを観察できる.花の美しさを楽しみ,その色素は酸・アルカリの指示薬にもなり,紙や布をきれいに染めることも出来る.冬になれば採取したケナフからパルプ,紙作り,その紙から自分だけのオリジナルな卒業証書,しおり,ケナフ炭など作ることができる.このようにケナフは,1年を通じて教材に出来ること,環境教育,理科教育および総合教育の教材として,ケナフを活用することは,児童,生徒にとって大きな意義があると言えよう.
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