研究概要 |
CAI個別学習の教材を作成する場合,対象児・者の認知発達段階と情報処理特性を充分考慮することが必要である.本研究では,(1)精神遅滞児・者の算数教材とともに(2)重症心身障害児のコミュニケーション促進のための教材開発と評価について検討した.障害児の発達の特性を考慮した教材開発を行なうためには,障害事例における発達経過に関する検討とその指導の分析が不可欠である.数概念およびコミュニケーション機能の初期発達経過に関する研究は,必ずしも十分なものではなく,そのため初期発達経過そのものに関する研究と,コンピュータ教材の開発とその有効性に研究を行なう必要がある. そこで本研究では,数概念の発達援助に関しては,以下の検討を行なった. (1) 数概念の初期発達過程に関する検討(平成10年・11年) (2) 数概念の指導・援助に関する検討(平成10年) (3) コンピュータ教材の開発とその有効性に関する検討(平成11年) これらの検討をとおして、数の集合操作の発達援助を行う教材を開発した.特にドットカードは有効な教材であることが,心拍反応の評価で明らかにできた. 重症心身障害児のコミュニケーション援助に関しては,以下の点について検討した. (1) 定位反応と期待表出の発達に関する検討(平成10年) (2) コンピュータによるコミュニケーション援助とその評価に関する検討(平成11年) その結果,重症心身障害児のYES・NOの教材評価を心拍反応により行い,教材の最適化を可能にした. これらの研究では,実時間心拍反応のモニタリングと反応評価のシステムを用い,分析処理を行った.教材として動画提示を行い,インターネットによる利用を可能にした.
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