研究概要 |
本研究では、高等教育の改善を目的として設置されたSCSを、遠隔地を映像音声交換を中心として接続するメディアとして試験的に位置付けて接続するとともに、それぞれの大学局と学校現場の間をISDN通信回線を使った映像音声伝送装置で接続した、SCSとISDNを組み合わせた多地点遠隔共同学習システムを開発し、臨場感のある状況下での児童間の相互交流による共同学習の効果を検討した。 平成10年度:(1)SCSとISDNを用いたテレビ会議システムの接続に関する技術的検討として,1回線の場合(2B(128bps))、2回線同時使用の場合(4B(256bps))、3回線同時使用の場合(6B(384bps))の3条件を設定して比較実験を行い、映像・音声が遠隔交流学習に十分に機能するということを確認した。(2)ISDNを用いたテレビ会議システムによる遠隔共同交流学習を試行し,a.5年生総合的学習「米作り」を題材とした遠隔共同交流学習、b.4年生社会科「雪国の人々の暮らし」を題材とした遠隔学習、c.2年生生活科「いろいろな地域の人々と友だちになろう」を題材とした遠隔交流学習上記3試行について、映像音声伝送メディアを活用した遠隔交流学習に対する先有知覚への影響の視点から、その有効性について検討し,このシステムへの好み度,期待度が高いという知見を得た。 平成11年度は:小学校6年生を対象として,SCSとISDNを利用したテレビ会議システムを組み合わせ,総合的な学習に関する遠隔共同学習を9月から12月まで3回試み,遠隔共同学習への興味関心・意欲態度・学習期待,システムの機能面の受け止め方に及ぼす影響を調査した。その結果、遠隔共同学習に対する興味関心、意欲態度、学習期待、ならびに、質問・意見等の発言意欲が高く,相手校の児童と共同して学習しようとする姿勢がみられた。しかし,SCSとISDN利用のテレビ会議システムを組み合わせた場合,特に画像に関して圧縮と解凍を2度以上繰り返すことになりそのときの画質の劣化はかなり大きく,今後,システム構成の問題点として検討する必要があることが判明した。
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