研究概要 |
試作した学習教育システムは2つある。まずプログラムとデータの流れを中心に表示する初級コース用システムである。これは,あまり細部の厳密性にとらわれずにコンピュータ動作のアウトラインを直感的に理解できるよう,表示内容を大幅に簡単化してアニメーション作成ソフトFlashを用いてアニメーション表示と擬音を発するシステムである。もう1つは,制御信号の働きをクロックピリオド単位で表示する機能を持った中級コース用システムである。中級コース用システムでは,コンパイラを組み込んで任意の演算内容が取り扱い可能であり,各構成要素などの解説はテキスト文の表示とナレーションによる説明が機能する。 大学の文系3学部1年生(情報処理概論)および大学教員養成学部2年生(情報基礎)の講義に中級コース用システムを使用して評価したところ,コンピュータの内部動作の仕組みを学習するのに,教科書に従ったコンピュータの構成や個々の構成要素の解説よりも,モデルコンピュータを用いた本研究で試作した学習教育システムの方が分かり易く学習者の興味を引くことが確認できた。ナレーションによってさらに細部に注意を喚起することができた。また,中学2年生の技術・家庭科の情報基礎領域の授業に使用したところ,扱いは易しいと感じられ,コンピュータの仕組みを学習するのに理解し易く,表示画面の構成は約半数の生徒からよかったと評価された。授業の教示用としてだけではなく,単独で個人学習するのにも使用可能である見通しが得られた。 今後は継続して,初級コース用システムの評価をするとともに,各構成要素の動作のシミュレーション機能を設けて試作を進める。
|