研究概要 |
本研究の目的は,国際化・情報化・環境の悪化といった社会の急激な変化に主体的に対応していくことができるような児童・生徒を育成する社会科授業の改善という視点から,発達段階に応じた「生きる力」を育成する社会科の国際理解学習・環境学習・情報学習に関する学習材を,実験・実証的研究を通して開発していくことである。 4年間の本研究の成果は,次の3点である。 (1)「生きる力」を育成する社会科授業構成の理論仮説の発見,教材研究,授業計画案の作成,研究授業の実施,授業の分析・評価,理論仮説・授業計画の吟味・修正という実験・実証的研究を通して,不十分ではあるが,学習材の開発を試みたこと。 (2)「生きる力」を育成する社会科の学習開発において重視することが必要な視点を明らかにしたこと。社会科国際理解学習では,(1)文化理解の力,(2)関係理解の力,(3)問題解決の力,以上の3点が重要であること。社会科環境学習と社会科情報学習では,共通して,(1)問題発見力,(2)情報活用能力,(3)探求力(思考力),(4)意思決定力(判断力),以上の4点が重要であること。 (3)小学校中学年,小学校高学年,中学校の児童・生徒の発達段階に応じた学習材開発の、視点を仮説として設定することができたこと。社会科国際理解学習における文化理解という観点では,小学校中学年では異文化の特色(相違点)の理解,小学校高学年では異文化の特色の背景の理解,中学校段階では異文化の相違点・共通点の背景と文化の一般性の理解が大切であること。社会科環境学習や社会科情報学習では,小学校中学年では問題発見力と情報活用能力の育成を,小学校高学年では探求力の育成を,中学校段階では意思決定力の育成を重視するすることが大切であることである。
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