研究概要 |
本科学研究費補助金により得られた成果は、次のようにまとめられる。 (m, n)-マージングネットワークにおける最小比較器数M(m, n)を求める問題を考える。M(n, n), n【less than or equal】5,n=7,8,9の値が既知であり、M(6,6)に対しては16【less than or equal】M(6,6)【less than or equal】17が知られていた。研究代表者等はM(6,6)=17を証明した。(論文掲載済) また、M(m, n)に関する下界定理を導いた。Batcherのodd-even mergeにおける(m, n)-マージングネットワークの比較器数をC(m, n)とすると、M(4,n)=C(4,n),n≡0,1,3mod 4,M(5,n)=C(5,n)、n≡0,1,5mod 8であることを示し、Batcherの(6,8k+6)-,(7,8k+7)-,(8,8k+8)-マージングネットワークが最適であることを証明した。またこの下界定理によりYao and Yaoの未解決問題を25年ぶりに解くことができた。(論文掲載済) 盤の一辺の大きさをnに拡張した将棋盤の上での詰将棋を考え、この一般化詰将棋問題が指数時間完全であることを示した。(論文掲載済) n頂点の有向非閉路グラフGの各頂点に1,2,…,nの整数を割り当て、Gの有向辺(u, v)に対し、頂点uに割り当たる整数がvに割り当たる整数より小さい1,2,…,nの順列の個数をT(G)と定める。この定義によればT(G)をO(n^2・n!)ステップで計算できるが、T(G)をO(n^2・2^n)で計算する新しいアルゴリズムを考案した。(論文は研究会で発表済) 研究分担者の笠井は、推論アルゴリズムや形式言語に関する成果をあげた。武永は、順序付2分決定図やTree-shallable関数の性質を明らかにした。蓮沼は、グラフ理論の性質やグラフアルゴリズムを提案した。これらはいずれも本研究をすすめるための基礎研究であり、今後の研究に活かす予定である。
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