研究概要 |
本研究の目的は,組合せ問題の高性能な近似アルゴリズムを開発することである.対象となる問題は,ブール式の充足問題(SAT),グラフの最大カット問題,グラフの辺支配集合問題などである.これらの最適化問題はNP困難であり,高性能な近似アルゴリズムを開発することは理論的・実用的に重要である. 研究成果は主に次のようなものである.最大充足問題に対し,真理値割り当てに摂動を加える手法を開発し,従来の近似比率を上回る高性能な近似アルゴリズムを提案した.VLSIやプリント基板のレイアウト設計における配線可能性検証とビア数最小化を行なうアルゴリズムを開発した.ビア数最少化ではグラフの最大カット問題の近似アルゴリズムが用いられている.ユークリッド距離変換アルゴリズムを開発し画像処理におけるモルフォロジー演算を効率良くしかも統一的におこなう手法を与えた.論理エミュレータは回路設計の論理検証に用いられるが,論理エミュレータのネット割当て問題を解くアルゴリズムを与えた.さらに,グラフの辺支配集合問題とその関連問題の近似可能性や,ペトリネットにおける発火系列問題の多項式時間解法について研究した.
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