研究概要 |
幾何学的構造を有する最適分割問題に対して,効率のよいアルゴリズムの開発をおこなった。得られた成果は以下の通りである。 (1)単一デポを有する木構造ネットワーク上の配送計画問題を考察する。顧客は,木の頂点上に位置し,正の需要を持っている。同一の積載量制限のある車両群がデポを出発し,顧客の需要を満たしながらデポに戻って来る。また,一人の顧客の需要は分割可能であるとする(二台以上の車両によってその顧客の総需要を満たすことが許される)。このとき,全顧客の需要を満たす車両配送計画のなかで総走行距離を最小する配送計画を求める問題である。本論文はこの問題がNP-完全であることを示すとともに,近似比1.5の近似アルゴリズムを開発し,さらにそのアルゴリズムを精緻化することによって近似比を1.35まで改良することに成功した。 (2)画像の領域分割やデータマイニングにおいて現れるいくつかの最適データ分割問題を定式化し,高速アルゴリズムを開発した。n個の実数の重みが格納されている一次元配列におけるクラス間分散を最大にする区間を求める問題を解くO(n log n)時間アルゴリズムを開発するした。このアルゴリズムを二次元配列の問題に拡張し,O(N^3)時間アルゴリズムを開発した。また,カテゴリー属性を対象とした二次元データにおける最適な相関ルール発見の問題を半正定値計画法として定式化して,近似アルゴリズムを開発した。また,実際の顧客データにもとづく計算実験をおこない,提案手法の有効性を検証した。 (3)平面上の点集合に対して等間隔のグリッドで分割して各セル内に入る点の数が均等になるような分割を求める問題をポリマトロイド最適化問題として定式化した。また,重み付きグラフHに対し,例えば最小全域木の総枝長のような離散構造に関する評価関数π(H).ここで,与えられたグラフGに対してその頂点の大きさkの部分集合Vで、誘導部分グラフG(V)にたいしてπ(G(V))を最大にするVを求める問題を考察した。
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