研究概要 |
論理関数fがf=g(h(X_1),X_2)の形で表現できるとき,fは関数分解可能であるという.変数の集合{X_1}と{X_2}が共通部分をもたないとき,これを分離的分解という.また,共通部分を持つ時,非分離的分解という. 1.対称関数の展開定理と非分離的関数分解への応用 算術演算回路等は,その論理関数に対称性を有する.対称論理関数の新しい展開方法を示した.また,それの非分離的関数分解への応用を開発した.そして,この展開法を用いて,ベンチマーク関数rd73,rd84,9symは,それぞれ,4,6,5個のLUTで実現可能なことを示した. 2.論理関数fが,f(X_1,X_2)=h_1(X_1)h_2(X_2)の形で表現できるとき,fはAND二分解可能であるという.このとき,関数fの論理和形は,h_1とh_2の最小論理和形に分配律を適用するこにより導出できる.このとき,得られた論理式が最小形ならば,論理式簡単化の計算時間を削減できる.しかし,一般的には,このようにして得られた論理和形は,必ずしも最小形にはならない.ここでは,オーソドックス関数という新しい関数のクラスを定義する.オーソドックス関数とは,最小論理和形の積項数が,最小項の最大独立集合の個数と一致するものをいう.与えられた関数fがAND二分解可能であり,その部分関数がオーソドックス関数であるとき,fの最小論理和形は,部分関数の最小論理和形に分配律を適用することにより得られることを証明した. 3.関数分解の理論を用いて,多出力論理関数を大規模メモリとシーケンサで実現する方法を開発した.まず,多出力関数の非零出力を特性関数(ECFN)で表現し,それを,LUTのカスケードで実現する.次にそのカスケードを,大規模メモリとシーケンサで模擬する.また,これを高速に実現するアーキテクチャを示す.これは,再構成可能論理の新しい実現法となっている.種々のベンチマーク関数に対するLUT数と段数を求めた.また実行時間を減らすような出力の分割法を開発した.関数分解の理論は,カスケードを実現する際に用いた.
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