研究概要 |
1.音韻識別時の脳の賦活部位の検討. Echo planar imaging(EPI)法による機能的磁気共鳴画像を用い,日本語2音節無意味語の2音節のいづれかに,ある音韻が含まれるかどうかを被験者に判断させた時の脳の賦活部位を検討した.左右側頭葉を中心に賦活がみられた.賦活は,左側頭葉の方が強かった. 2.機能的磁気共鳴画像(fMRI)の撮像時における音声刺激呈示法の確立. fMRI撮像時には大音量の騒音が発生するので,fMRIを音韻知覚判断実験に用いる場合,遮音対策なしには実験が困難である.MRI装置は高磁場を発生するので,理想的な遮音材を使用できず,通常の遮音対策だけでは低周波数域の遮音性能が不足する.そこで本研究では,とくに低周波数域で効果のある能動騒音制御技術を併用して,大音量の騒音下においても音声刺激の聴取を可能にする方法の検討を行った.具体的には, (1)機能的磁気共鳴画像の撮像時の雑音の音響特性および,その傾斜磁場の電流波形との時間関係を測定した. (2)能動騒音制御システムを開発した. (3)能動騒音制御のための非磁性トランスデューサ(スピーカ,マイク)を開発した. 能動騒音制御だけでは,音響雑音の基本波のピークを15dB程度減衰させることができた.これを,非磁性のイヤーマフと組み合わせることによって,全周波数帯域において40dB以上の音響雑音の減衰を達成できた.この結果,fMRI撮像時の大音量騒音下での音声聴取実験が可能になった.
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