研究概要 |
平成10年度〜平成11年度の2年間にわたる研究の結果,様々なソフトウェア開発プロジェクトを擬似体験することのできるシミュレーションシステムを構築し,シミュレーションによるプロジェクト管理支援が可能であることを明らかにした.特に,シミュレーションの基本となる作業進捗モデルを構成する3つの基本モデル(作業量モデル,生産性モデル,知識モデル)の評価を行い,その結果に基づいて,シミュレーションシステムをWindows上で設計,実装した.実装にはJavaを用い,WWWを介してのシステムヘのアクセスと実行を可能とした.また,プロジェクトの特性(生産性や技術習得に必要な日数等)から基本モデルのパラメータを算出する機能をシステムに設けた.これにより,基本モデルに関する知識が無いプロジェクト管理者でも,比較的容易にシステムを利用できるようになった.ソフトウェア開発プロジェクトとして典型的な特徴を持つ仮想プロジェクト(バーチャルプロジェクト)を設定し,6名の熟練管理者それぞれに主観的な見積もりとシステムを用いた見積もりを行ってもらった.その結果,開発期間の見積もりにおいては,主観的な見積もり値とシステムを用いた見積もり値の間に差の無いことが,有意水準5%で確かめられた.更に,作業実施に要求される知識構造を認知マップで表現することにより,開発者の持つ知識の違いをより詳細に表現し,進捗に反映できることが分った.
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