現在Webページでは視覚障害者の音声ブラウザ利用への配慮のないものが多い。多くのWeb検索エンジンの操作性も良いとは言えない。前年度に行った音声ブラウザを使用した主要検索エンジンの評価結果においても、多くの検索エンジンの操作性は良いとは言えなかった。本研究では、視覚障害者が音声ブラウザを使用してWebの検索を行う場合に望ましい、操作性のよい画面構成となるように設計された検索システムが必要であると考え、簡単な検索システムをWindows98上のデータベースであるファイルメイカーPro V.4.1のWeb公開機能を使用して作成した。検索用データとしては、視覚障害補償機器/ソフトウェアのデータをサンプルとして使用した。その結果、試作した検索システムは、十分に使い易いものであった。しかしながら、操作性の問題が解決しても、検索対象の情報の量と範囲の広さという点で、実用的に使用される検索エンジンとしては問題があることが指摘された。その解決法として、一般の検索エンジンを使用し、コンテンツについてはその検索エンジンに依存することとし、その検索エンジンの検索ページを簡略化したHTMLファイルを用意し、それを使用することで、操作性の欠点を補うことができることを示した。以上については、情報処理学会第60回全国大会において、「視覚障害者用音声ブラウザのためのWWW検索エンジンの設計」の題目で報告を行った。
|