研究概要 |
前年度,垂直移動にエレベータを想定し,待ち時間を考慮に入れ,理論の整備と整理を行った.具体的には複数個のエレベータシステムを用いた場合の移動時間分布を解析的に計算するのは困難なので,エレベータの待ち時間に関して確率密度関数を想定し,さらにエレベータの速度については速度の平均値が標準偏差が階段に比例するものと仮定し,移動距離分布を求める理論を構築した. 今年度は主として,新宿高層ビル街において前年度の理論を検証すべく,調査を行った.具体的には,まず調査範囲を定めて各建物各階の床面積を調査する.次に,この床から一様に交通を発生させ,一様に行き先を定める.この場合,交通の独立性と調査の効率性を考え,一様乱数の発生についても吟味しなければならなかった. 実際の調査は,上述の乱数により定められた道順に従い,地上部分の移動時間,エレベータの待ち時間,エレベータの運行時間を,大量のアルバイターを動員して計測した. 地上部分についてはグリッド状のネットワークにおける分析が必要であり,これも今年度得られた成果である.
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