研究概要 |
本研究では,多段階生産在庫システムに対する生産指示方式について,需要の非定常な変化に的確に対応する際,事前情報などを必要としない,進化型臨機応変生産指示方式の開発とその有効性の検討を行った. まず,平均ばかりでなく,分散も時間とともに変化する非定常な現象のモデル化について,検討した.また,ニューラルネットワークの関係書などの文献調査から,そのような需要の非定常な変化に対する学習機能について検討した. 続いて,事前情報と事前の対応の検討という両方の仮定とも緩和する前段階として,今までの研究において事前情報として与えていた需要の分散を未知の変数として,それに対する検知・調整機能を開発した. さらに,事前情報に加えて,事前の対応の検討も不要とする,すなわち需要の非定常な変化とそれに対する対応の結果を検知し,その状況を適宜学習することにより,事前情報や事前の検討がなくても需要の非定常な変化に対応できるように,需要の変化に対するパラメータ変更・指示方式切替えの学習機能を検討してきた.学習の方法論としては,色々な方法論が検討されているが,ニューラルネットワークの応用を試みた.開発したシステムの有効性は,色々なシナリオに基づき発生させた仮想的な需要系列に対して,開発した学習機能で学習させたときの特性を実験的に明らかにした.また,従来の方式と比較することにより,開発した学習機能の効果を分析した. 以上の結果,開発した適応型かんばん方式と適応型コンカレント型指示方式のいずれも,事前情報なしに需要の非定常変動に対応できること,ならびにニューラルネットワークの導入により従来の方式と比較して平均総在庫量を小さく抑えることができ,より有効であることを明らかにした.
|