研究概要 |
平成10年,11年度は,対象が拒否権を持ち,拒否確率が順位に依存する秘書問題を中心に研究を進めた.研究成果報告書の2・6節にその結果がまとめられている,この問題では過去の拒否履歴が状態となるので,対象の数が増えると,状態の数は爆発的に増加する.したがって,数値計算の実行に当たってはアルゴリズムに工夫を要する.2・5,2・7節の研究も拒否確率に関連したものである.Boyce's urn problemは株価の変動に伴う最適投資タイミングを決める1モデルと見ることができる.2・12節にその成果をまとめた.秘書問題の周辺に位置する問題としてduration problemと呼ばれる問題がある,これに関連した研究成果を2・2,2・3節に与えた.通常,秘書問題は1つの対象を選択して終了するが,複数個の対象を選択する多重選択問題も様々研究されている.2・3,2・4節の研究はこれに相当する. 平成12年度の研究目標は,第1種スターリング数に関するある恒等式に対して確率論的解釈を与えることとランダム・ウォークに関する最適停止の研究であるが,これらの成果はそれぞれ2・8,2・10節にまとめられている. 平成13年度の研究目的の1つであるodds theoremの一般化については2・11節に与えた.採用期間を複数の小期間に分けた(各期ではリコール可)多重選択問題については研究途上である.成果の一部は2・14節の論文の7節に与えてある,この問題も状態が多くの変数で記述されるので,実用規模の数値計算を実行するには効率的なアルゴリズムを追求しなければならない.2・1,2・9,2・13節の研究は当初想定していなかった問題である. 4年間の研究を通して,ささやかではあるが,この分野の進展に貢献できたものと考える.講究録に掲載されている論文は,今後更に内容を充実させ査読誌への投稿を予定している.
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