研究概要 |
研究成果報告書は以下のような項目によって構成されている。 (1)パルス励起ECRプラズマ中の直流二極スパッタリング ECRプラズマのダウンフローによる空間的エネルギー緩和過程における活性な準安定励起酸素分子O_2,a^1【right filled triangle】、O原子ラジカルを用いた穏やかな酸化プロセスと直流二極スパッタリングを組み合わせた酸化物薄膜結晶の合成方法の開発。パルス列変調したマイクロ波によって放電空間に酸素ラジカルを供給するとともに、直流二極放電の立ち上げ時に電子を供給して、高酸素雰囲気で放電プラズマのインピダンスの上昇による放電の停止を防ぐ。出現ポテンシャル質量分析によって酸素ラジカルの密度が酸素・アルゴン混合気体の分圧比に依存することが明らかになった。 (2)Ta_2O_5薄膜の結晶性の評価 450℃に加熱した溶融石英基板状に形成した薄膜結晶のX線回折パターンから、得られた薄膜結晶は配向性β-Ta_2O_5で単斜晶系に属することが明らかになった。単斜晶系の基本格子の各部分の長さと角度は、a=0.731nm,b=1.553nm,c=2.154,a=γ=90deg,β=120.35deg、b-c軸が基板面に平行に形成され、X軸が基板面に垂直な方向に成長した一軸配向性薄膜結晶である。高酸素雰囲気中で良好な結晶性が得られる。複屈折性による光散乱のため外見上は幾分白濁している。
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