研究概要 |
軽水炉原子力発電使用済み核燃料再処理工程において発生するフィッションプロダクト中に含まれるセシウム系ナノ粒子のモデル粒子として,同様にフィッションプロダクトのひとつである,銀粒子を用いた実験的検討を最初に進めた。我々が開発,試作したナノサイズ粒子を低圧場(123-300Torr)でその場測定するための静電分級型モビリティアナライザ(DMA)による粒径測定結果とDMA入り口でサンプリングして透過型電子顕微鏡TEMで観察した結果とは,DMA径のほうが若干大きい(+7%)ものの両者は両対数プロット上で傾き1のよい相関を得た。つぎに本DMAの分級特性を実験的に検討するため,DNA下流において分級粒子のサンプリング,TEMによる観察を行い,クロスチェックした。DMA分級設定径とTEM観察粒径分布から算出したそれとを比較したところ,DMA径のほうが若干大きい(+14%)ものの両者は両対数プロット上で,5-25nmの範囲で傾き1のよい相関を得た。また,分級のシャープさを表す,粒径分布の幾何標準偏差の値は,分級前の1.34-1.50から,実験条件での理論値(理想的値)1.093とほぼ見なせる,1.08-1.17という値を得た。 さらに,フィッションプロダクトの代表的物質である,セシウムとヨウ素からなる,ヨウ化セシウムエアロゾル粒子の発生器を試作しその発生を試み,粒径分布をDMAで測定したところ,その発生条件により,5-100nm(あるいはそれ以上のサイズ)に分布していることを見出した。その際,発生温度が上昇するにつれて,粒径が大きくなり,発生粒子濃度もわずかながら増大することを明かにした。また,DMA分級前後のサンプリング粒子のTEM観察から,Agナノ粒子の場合と同様にDMAを用いたサイズ計測さらにはサイズ選別が可能であることを実験的に明らかにした。
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