研究概要 |
4πβ-γ同時計測装置による崩壊率精密測定に基づくγ線放出率測定の結果、^<76>As(26.32h),^<159>Gd(18.48h),^<169>Yb(32.02d),^<182>Ta(114.43d),^<186>Re(89.25h),^<187>W(23.72h),^<188>Re(16.98h)の各核種に対する精度を2倍から10倍以上に改善することができた。精度の改善のみならず、測定結果によると^<76>Asで10%、^<169>Ybで2%報告値が大きく、逆に^<159>Gdで5%、^<187>Wで20%、^<188>Reで3-10%報告値が小さいことが判明した。 一方、カスケードγ放出標準線源により相対効率25%及び70%の高純度ゲルマニウム検出器の相対検出効率曲線の超精密決定を試みた。即ち、ほぼ等しくてしかも高放出率で2本のγ線をカスケードに放出する核種を、線源・検出器間距離を30cmもしくは40cmに設定し、吸収補正及びカスケードサム補正が小さくなる条件で測定を行った。使用した線源は^<24>Na,^<46>Sc,^<48>Sc,^<60>Co,^<88>Y,^<94>Nb,^<108>Ag,^<111>Inである。各々の核種で2本のγ線に対する、対数表示でのエネルギー差と検出効率差を利用しデータ処理することにより規格化されたデータ点を求め、それらに共分散を用いる最小2乗法を適用し相対検出効率曲線を求めた。その結果、171keVから2754keVの範囲で、低エネルギー側と2754keV付近では0.3%の不確かさであるが、その中間領域では0.1%の不確かさという精度が得られた。この結果を用いて、^<38>Cl(37.24m)の1643keVと2167keVγ線の相対γ線強度測定の結果、0.7496±0.0011と高精度で決定できた。又、^<27>Mg(9.45m)の844keVおよび1014keVγ線の放出率を各々71.80±0.08%、28.20±0.08%と超精密に決定できた。さらに、^<60>Coの崩壊率を0.03%程度の不確かさで測定し、相対検出効率曲線を規格化精密絶対検出効率曲線に変換した。この結果を用いて、マルチγ線標準線源として使用されている^<134>Cs及び^<152>Euのγ線放出率を0.3%の不確かさで測定を行い、評価値の妥当性を検討している現状である。
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