研究課題/領域番号 |
10680489
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
原子力学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60115988)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | セラミック絶縁材料 / 放射線照射効果 / 中性子誘起電気伝導 / 電荷蓄積 / 変位電流 / 実効ドリフト長 / 電荷輸送 / 放射線誘起電気伝導 / 電子捕獲・再放出 / 再結合 / 電離電子 |
研究概要 |
直径10mmφ、厚さ0.05-0.5mmの高純度サファイア円板(京セラ製)の両面中央に金蒸着電極を取り付けた照射試料を作成した。この試料を中性子で照射しながらバイアス電圧と中性子誘起電流の関係を測定した。実験結果から、以下のことが分かった。 [1]中性子照射開始直後に大きな過渡電流が流れ、照射停止後の誘起電流の減少には非常に遅い成分がある。また、再度の照射時の過渡電流は最初程大きくない。この結果は試料内での分極効果を含む電荷の蓄積の影響が顕れていると考えられる。 [2]中性子誘起平衡電流は、一定バイアス電圧下では中性子フラックスに比例し、一定中性子フラックス下ではバイアス電圧と1次関数の関係にある。14MeV中性子誘起電流増加係数は、〜1×10^<-10>/Ω/m/Gy/Sであった。この結果は、中性子核反応によって試料内に生成された電荷キャリア(電子及び正孔)のドリフトが電界によって制御され、中性子誘起電流の主要因であることを意味していると考えられる。 [3]OVバイアス電圧下においても正の中性子誘起電流が生じる。この結果は信号電極近傍の試料中に正電荷の蓄積があることを意味している。そして、中性子誘起電流の実測値は、サファイア内で発生する核反応電荷粒子による全電離量(飽和電流)の計算値の約1万分の1であった。この事は試料内で生成された電子及び正孔が直ぐに捕獲されるか再結合することを意味している。そして、信号電極に変位電流を誘起する実効的な電荷ドリフト長は数十nmと推定される。この値の妥当性は試料中のキャリア輸送の問題として更に詳しくチェックされる必要がある。 中性子照射下での絶縁材料の電気的特性の変化を正確に評価する為には、キャリア電荷の正確な輸送モデルに基づいたポアソン方程式の数値計算解との比較考察が必要である。
|