研究課題/領域番号 |
10680510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊池 英明 (菊地 英明) 東北大学, 加齢医学研究科, 助教授 (60006111)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ダイオキシン / Ahレセプター / シグナル伝達系 / MAPキナーゼ / PD98059 / ERK1 |
研究概要 |
ダイオキシンの生体に対する多様な毒性を説明する作用機構に関してはほとんど明かになっていない。そこで、標的遺伝子をチトクロームP-4501A1の転写活性化を指標として、ダイオキシンが引き起こす細胞内のシグナル伝達系を検討した。そこで、ダイオキシン投与によって各々の因子の活性が上昇するかどうかを調べた。 1)ERK1/2の活性上昇の検出には、basic myelin protein(BMP)を基質とし たリン酸基の取り込みによって調べた。ヒトHepG2細胞において、TCDD投与後30分をピークとする一過性のERK1/2の上昇を検出した。また、ERK1/2のリン酸化チロシン特異抗体により、チロシン残基がリン酸化されたERK1/2の量をTCDD投与後30分のポイントで定量すると、ERK2が有意にリン酸化されていることが明かとなった。 2)MEK阻害剤はTCDDによるCYP1A1の誘導を阻害したが、OPにより CYP1A1の誘導は阻害しなかった。PD98059は、MEK阻害剤として働くとともに、Ahレセプターのアンタゴニストとしても作用することが最近報告された。したがって、TCDDによるCYP1A1の誘導のMEK阻害剤による抑制は、PD98059によるAhレセプターのアンタゴニストとしての阻害効果で、ERK1/2の活性化の阻害によるものではないと考えられた。このことは、ERK1/2の活性化による標的遺伝子は、CYP1A1とは異なったものであろうと考えられた。 3)免疫担当マウスB細胞CH12を用いて、ダイオキシンによって影響される遺伝子のカタログを作ることを目指した。B細胞CH12をダイオキシン処理して、LPS(リポ多糖)による免疫反応に関与する遺伝子群の発現がどのように変化するかを調べた。ダイオキシン処理によってB細胞に誘導される遺伝子をディファレンシャル・ディスプレイ法で検出できた。 これらのことは、TCDDの生物毒性として、Ahレセプターを介した毒性と、介さない、細胞内シグナル伝達系を活性化して細胞内の情報伝達系を乱すことによる、TCDDの毒性発現の機構が存在していることを示唆している。
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