研究概要 |
膜分離活性汚泥法は,汚泥の沈降性に左右されずにSSを全く含まない処理水質が得られる,MLSS濃度を高く保てるため処理効率の向上が図れるなど種々の利点を持つ。中でも浸漬型膜を用いる膜分離活性汚泥法は,従来型のクロスフローろ過と比べて膜ろ過に要するエネルギーを大幅に削減できるため,新世代型の膜分離プロセスとして期待されている。しかし,本法にも従来法と同様に膜面付近層の形成により膜透過性能が低下するという問題点がある。本研究では,浸漬型法における膜透過性能低下のメカニズムやそれらに影響を与える因子を明らかにすることを目的として,人工基質を用いて連続実験及び回分ろ過実験を行い,基本的な運転パラメーターである設定フラックスと曝気強度の影響を検討した。その結果,以下の知見が得られた。 1.設定フラックスの影響 設定フラックス(吸引圧力)が高いほど膜透過流束の低下率が大きくなった。因子別にはケーキ・ゲル層抵抗の増大が大きな影響を与えており,それにはECP(細胞外ポリマー)付着量の増加が寄与していた。 2.曝気強度の影響 曝気強度が低い場合だけでなく高すぎても膜面抵抗が増大し,膜透過性能が低下した。膜面抵抗の増大は,曝気強度が低い場合は膜面付着層の形成阻止効果を発揮できなかったことに,高すぎた場合はフロックの細分化に伴って強固な膜面付着層が形成されたことに各々起因した。 現在は,本法での生物反応槽の運転条件(MLSS濃度,汚泥負荷)が膜分離性能に及ぼす影響について検討を行っている。
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