研究概要 |
コンポスト原料を高速に処理するためには,離分解性有機物の1つであるセルロースの分解を如何に促進させるかが課題となる。コンポスト中ではセルロース自身が難分解性であることに加え,コンポスト化のような高温条件下ではセルラーゼを生産する微生物が生育しにくいために,コンポスト中にセルロースが残存しコンポストの熟成に時間を要する理由の1つにとなっている。そこで,本研究ではコンポストから高温で生育できる,増殖速度の速い好熱性Bacillus属細菌A8株を単離し,その菌にセルラーゼ遺伝子を導入することでセルラーゼ活性を持つ組換え菌を作成することを試みた。 プラスミドにセルラーゼ遺伝子を導入し,単離したBacillus属細菌A8株に直接形質転換すると形質転換効率が極めて低く,組換え菌の作成が困難であることを予備的な検討から確かめているので,一旦標準株であるBacillus subtilis ISWで組換え菌を作成し,その組換え菌からプラスミドDNAを大量に抽出してA8株に形質転換することとした。セルラーゼ遺伝子はClostriddium thermocellum由来の耐熱性セルラーゼ遺伝子(Cel A)を,プラスミドはpGDV1をそれぞれ用いた。Cel AおよびpGDV1を2種類の制限酵素,Pst IおよびSca Iを用いて切断し,16℃,約12時間ライゲーション反応させた。ライゲーション後のDNAサンプルをプロトプラストのB.subtilis ISWに形質転換し,B.subtilis ISWのセルラーゼ遺伝子組換え菌を作成した。 次に,組換え菌を培養し,大量のプラスミドDNAを得てA8株に形質転換した。その結果,コンポスト由来の好熱性Bacillus属細菌A8株のセルラーゼ遺伝子組換え菌を作成することができた。
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