研究概要 |
水銀浄化に用いるPseudomonas K-62株の水銀耐性遺伝子の構造、機能、制御機構および浄化に利用し得る遺伝子の構築とその利用性について検討し、以下の成果を得た。 1)本菌株のもつpMR26の上に二組の水銀耐性オペロンが存在すること、またその塩基配列(4447bpと1848-bp)が全て明らかとなった。2)オペロン上のmerTとmerPはHg^<2+>のみならずびC_6H_5Hg^+の輸送にも関与することが判明し、この両遺伝子は水銀浄化に利用できると判明した。3)しかし、オペロン上に存在するの新規遺伝子merGはC_6H_5Hg^+の細胞内透過を抑制する遺伝子であり、本遺伝子は水銀浄化に利用できないと考えられる。4)両オペロンの発現はともに水銀の添加により制御されることが判明した。しかし有機水銀による誘導においては、merB遺伝子が必要であるも明らかとなった。 以上の基礎研究結果に基づいて水銀耐性オペロンのmerPの下流にKlebsiella aerogenes由来のポリリン酸キナーゼ遺伝子ppkを組換えた融合遺伝子pMK27を構築し、各遺伝子の発現及び実験室レベルでの水銀浄化能を調べたところ、pMK27上のmerT、merPおよびppkはいずれも大腸菌内で発現していること、また培地中のHg^<2+>がポリリン酸のキレート体として、菌体内に固定回収されていることが確認された。従って、本融合遺伝子pMK27は環境中のHg^<2+>の浄化回収に利用できると考えられ、今後、実際の水銀汚染環境への適用ついて検討を加える予定である。 以上の研究成果はJ. Bacteriol., 181, 726-730 (1999)、Biol. Pharm. Bull., 22, 910-914 (1999)、Biol. Pharm. Bull., 23, 279-282 (2000)およびJ. Health Sci., 46, In press (2000)に公表した。
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