研究課題/領域番号 |
10680561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
江口 正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60201365)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 古細菌 / 膜脂質 / 合成 / リボソーム / リポソーム / 物性 |
研究概要 |
温泉、塩湖、海底火山等のような高温、高酸性あるいは高圧の特異な条件下で生息している生物の中に古細菌といわれる一群の微生物が存在しており、通常の生物とは異なる特徴の一つとして膜脂質の化学構造が挙げられる。古細菌の膜脂質はジ-O-フィタニルグリセロールをコア脂質の基本構造とするが、36員環もしくは72員環を有する大環状エーテル型化合物も膜中に含まれている。この特異な膜脂質の性質を詳しく調べるためにはこれらの化合物を純粋に相当量入手することが必要で、天然から単一化合物を大量に得ることは出来ないから合成によることが必要である。 これらの古細菌大環状脂質の高温環境への寄与を見出すべく、古細菌36員環ジエーテル型脂質及び72員環テトラエーテル型脂質をオレフィンメタセシス反応を環化の鍵反応として利用することで大量に合成することに成功した。また、これら大環状脂質をリン酸化し、それからなる形成するリポソームの物性について種々の方法で検討した。まず、36員環脂質に関しては、蛍光プローブを用いて膜流動性・熱安定性・プロトン透過性について、検討したところ、36員環リン脂質からなるリポソームは、膜流動性が低く、プロトンの透過速度が遅く、高温でも安定なリポソームを形成することが分かった。 さらに、72員環リン脂質のリポソーム形成能をノルマルスキー型光学顕微鏡で観察したところ、72員環脂質単独で巨大リポソームを形成することが分かった。72員環リン脂質がリポソームを形成することが分かったので、蛍光プローブを用いてリポソームの熱安定性を調べたところ、72員環リン脂質からなるリポソームは温度変化によるバリアー能の変化量が少なく、70℃付近でも高いバリアー能を保持する安定なリポソームを形成していることが分かった。このことによりこのような大環状脂質が古細菌の過酷な環境下に成育するの大きく寄与していることが分かった。
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