研究課題/領域番号 |
10680576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90207267)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Ca^<2+>-ATPase / 筋小胞体 / SERCA / 部位特異的変異 / folding / N末端 / proteasome / アルギニン / カルシウムポンプ / N末端領域 / 品質管理 / ヒスチジン |
研究概要 |
以前に筆者は、筋小胞体Ca^<2+>-ATPase(SERCAla)のArg198およびHis5が触媒部位の近傍に存在することを示した。本研究では、Arg198およびN末端領域(Glu2-Ala14)のアミノ酸残基を部位特異的変異により削除あるいは置換した変異体をCOS-1細胞で発現させ、それらの機能を解析した。 1.Arg198の部位特異的変異:R198を親水性と正電荷を保つLysに置換してもATPase活性とリン酸化酵素(EP、反応中間体)濃度から求めたturnover rateは変化しなかった。親水性だが電荷を持たないGlnに置換すると若干減少した。他方、負電荷を持つGluや、疎水性のAla,Ileに置換すると著明に減少した。EPの加水分解速度は、R198KではWTと同じであった。R198Qの分解は遅く、E、A、I置換体では分解が著明に遅くなった。以上の結果は、198番目のアミノ酸残基が親水性でかつ正電荷を持つ事がEPの速い加水分解に重要であることを示している。 2.N末端領域の機能解析:Ala3-Ser6領域の何れか1残基の削除、Ala3-Thr9領域の連続した2残基以上の削除、あるいはA4K、A4D、H5Kの置換によってCOS-1細胞でのSERCA1aの発現が強く抑制された。1残基の削除変異体を除いて、発現が強く抑制された変異体の特異的Ca^<2+>輸送活性は強く抑制された。COS-1細胞での発現が強く抑制された変異体では、転写、翻訳、及び膜への挿入は障害されていないが、COS-1細胞内での分解がWTに比べて非常に速いことが示された。変異体Δ3のCOS-1細胞での速い分解は、proteasomeの特異的阻害剤lactacystinによって強く抑制された。以上の結果より、SERCA1aのN末端領域(Ala3-Thr9)は小胞体での品質管理に感受性が高く、従って、この領域は本蛋白質の正しいfoldingまたは正しくfoldした本蛋白質の安定性に重要であることが示唆された。
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