研究課題/領域番号 |
10680598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森岡 瑞枝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20272461)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 細胞内共生 / シンビオニン / 二成分型情報伝達機構 / 制御分子 / ヒストンH1 / センサー分子 / リン酸基転移機構(PTS) / ptsH-ptsl-crr / 糖質輸送 / HPK / HPr / 分子シヤペロン |
研究概要 |
アブラムシの細胞内共生バクテリア(ブフネラ)が合成するシンビオニンは、大腸菌GroELのホモログであり分子シャペロン活性をもつばかりでなく、自己触媒的なリン酸基の脱着を介してエネルギー共役的にリン酸基を他の基質へ転移するというユニークな酵素活性をもつ。したがってシンビオニンはブフネラにおけるエネルギー転換系の中心的役割を担うと共に、ブフネラと宿主の間の情報伝達に関与することが予測される。本研究では、シンビオニンがブフネラにおける二成分型情報伝達機構の"センサー分子"、あるいは糖質輸送系に関与するリン酸基転移機構(PTS)の"HPr"として機能する可能性を検証するための解析を行い、以下の結果を得た。 1.シンビオニンから高エネルギーリン酸基を受容するタンパク質(25-kDaPR)としてヒストンH1を同定し、本タンパク質をコードする遺伝子の全長をクローニングしシーケンスした。原核性ヒストンH1に関する報告はこれが初めてであるので、その生化学的特性を慎重に解析した結果、ブフネラ・ヒストンH1は真核性ヒストン同様、酸可溶性で、DNA-結合活性を有し、仔牛胸腺ヒストンH1と抗原性を共有することを明らかにした。 2.自由生活型バクテリアに普遍的に存在すると考えられているhpkは細胞内共生バクテリアには存在しないことを明らかにした。また、ブフネラゲノム中に、大腸菌ptsH-ptsl-crrと相同な遺伝子を検出したことから、ブフネラにおいてもPEP-依存型の糖質輸送系が機能している可能性が示唆された。 以上の結果を総合すると、ブフネラにおいては、通常の大腸菌型HPKに替わり、自己リン酸化活性・リン酸基転移活性をもった多機能分子・シンビオニンが二成分型情報伝達機構・センサー分子として機能する可能性を示唆するものと考える。
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